任意後見を利用した遺言

最近ご高齢な女性の方に任意後見制度を利用されるケースが増えてきています。核家族化が進んだ今日このページのケーススタディのような、任意後見制度の選択とさらに、遺言の利用も高まるのではないかと思われます。

最近の利用者の傾向

高齢化社会が進み、お年寄りの人口に占める割合が25%近くになってきております。
このことは、昔に比べて医療水準も格段にあがり、平均寿命も世界のトップクラスになったことによります。
女性は男性より長生きの傾向があり、高齢者に占める女性の割合は相当に高いです。
任意後見制度が開始されてこの制度の利用者を見てみると、70歳以上の女性でしかも1人暮らしの方の利用が圧倒的に多いという事です。

ケーススタディ

A子さんは今年78歳とだいぶ高齢となっていますが、足腰もそんなに弱っていないので毎週1回のゲートボールと大正琴クラブへ参加することを楽しみにしております。
A子さんの主人は5年前に他界して、都会で150坪ほどの敷地の家で1人暮らしをしております。
1年ほど前に買い物の際に転んで腕を骨折をしたときは、隣の市に住んでいる娘が本当に良く看病してくれて助かりました。今でも時たま様子を伺いにお弁当を持ってきてくれたりしています。本当によくできた子だと感謝しています。
A子さんにはもう1人長男が近くに所帯を構えているのですが、あまり寄り付きません。
小さい時は「お母さん、お母さん」と付きまとっていた頃が懐かしく思い出されます。

さて、A子さんは最近非常に物忘れが激しくなり、この先ボケてしまうのではないかと心配しています。

A子さんは現在年金で生活していますが、財産として今住んでいる家屋敷と亡き主人の残してくれた遺産としての預貯金とがあります。
A子さんは、自分の亡き後は色々とつくしてくれる娘に多く財産を残したいと日ごろから思っています。
さて、こんな場合波風を立てずに娘に遺産を多く残す方法はどうすればうまくいくでしょうか?

任意後見制度を利用して遺言を書く

上のような事例はよくあることで、どうも息子は外に出てしまい嫁のほうを向いて老後あてに出来ないことが多いようです。
今回の事例では、A子さんの判断能力が相当衰えてきているので、この際娘さんを任意後見人に指定して、A子さんの法律的なことと、身辺の事も世話をしてもらうことにします。(報酬はなしにしたほうが良い)
更に、任意後見人として世話を掛けるので、娘さんに多くの相続分を与える旨の遺言を公正証書遺言ですることが争いを防止できる可能性が高いといえるでしょう。

公証人のかたの話では上記のような事例が最近増えてきているそうです。ただ、財産目当てかどうか分かりませんが、息子が率先して任意後見人となることがしばしばあるそうです。



なお、当事務所では成年後見(法定後見・保佐・補助)や任意後見に関するサポートをしております。成年後見の利用をお考えに場合、ご相談ください。メール相談については初回無料で対応させて頂いています。

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