相続人確定のための戸籍謄本の取寄せ方

人により近所の役所1ヶ所で事足りる場合も有り、そんなときはラッキーですが、色々と複雑な方も結構おられます。
以下に相続のための戸籍謄本の取寄せ方をご紹介いたします。
決して難しくはありませんが、手間がかかるのと、戸籍制度や現在の電子化が複雑にしているだけですので、少しずつ順を追ってやっていくと全て整います。
不動産の名義変更では必須ですが、この作業を早いうちにやっておくと、不動産の名義変更より早く出したい預貯金の払い出しにも要求する金融機関もありますので、その意味からも外せません。

相続人確定のための戸籍謄本の取寄せ相談はここから

はじめの第一歩

とにかく被相続人の戸籍謄本(戸籍抄本ではダメです)を、被相続人の本籍地の役場で取寄せます。
本籍地が分からない場合は、まず免許証を見てください。免許証の一番上に本籍が書かれています。免許証などがない場合は、役場で本籍地の記載のある住民票を取ってください。そうすれば本籍地が確認できます。

戸籍謄本の見方

いよいよ戸籍謄本が手に入りましたが、全体を見てみるとなんとなく分かるような気がすると思います。
名前や住所などが書いてあってお父さんとお母さんが右のほうに書かれていて、次は長男、長女、の順に並んでいますが、場合によると子供であるはずの自分が載っていないことがあります。
そんなバカな!と思いますが、別ページで説明しましたが、コンピュータ化(戸籍の改正化)するときに、現に有効なものしか移行されなかったことによります。
戸籍謄本の見本図
さて、本籍と書かれている欄のすぐ左側がその戸籍が作られた原因をあらわしています。
一般的には○年○月○日に婚姻により別戸籍を編纂したとか、引越しなどにより転籍したなどという事が書かれています。
例えば今貰ってきた戸籍謄本に、「昭和○○年法務省令第○○号により昭和○○年○月○日改正につき昭和△△年△月△日戸籍編製」と書かれていたら、役所の都合で昭和△△年△月△日にそれまでの戸籍情報を編集して新しく戸籍を編纂したという事を意味しています。
そしてこの戸籍謄本は昭和△△年△月△日から亡くなられた日までの間の戸籍であるということです。
上図の例ではチョッと見づらいですが、甲野乙朗さんは大正4年8月8日生まれですが、ここに現れているのは昭和39年3月18日から亡くなった日までの戸籍謄本であることが分かります。
このような場合はなくなられた方の生まれたときまで、更にさかのぼって戸籍謄本を取る必要があります。
上記のように、本来記載されているはずの人が載っていない場合は、同じく遡ると記載されています。
また、戸籍を調査すると聞いた事が無い名前が載っていたりします。
出ました!隠し子です。認知してあります。認知があれば列記とした相続人となります。また隠し子でなくても、結構多いのが養子がらみのことです。
このように、本来相続権が有る人を知らずに遺産分割協議書を作成しても、それは無効になりますので注意が必要です。

もう一つ前の戸籍謄本の取り方

今取った戸籍謄本が、上記例のような役所の都合で編製されている場合は、その前の戸籍謄本はおなじ役場で請求することが出来ます。
編製された原因が婚姻や転籍などの場合で、住所がその役所の管轄であれば、そこで申し込めば、戸籍謄本は取得できます。
また、役所の戸籍係りの人に、最初に取った戸籍謄本を見せて、この被相続人に関連する騰本を分かる範囲で全て出してもらえませんか?とお願いすると調べて取ってもらえる場合もありますが、大きな自治体では忙しい場合は断られる場合も有るようです。
しかし、このように頼んで全て取れた場合はかなりラッキーです。
通常は1つ取っては確認してまたその前を取るという繰り返しになります。

一つ前の戸籍が別の自治体だった場合

このようにして遡ると、その前が現在住んでいる自治体以外のときがあります。(こっちの方が多いかも・・)
さて、本来は該当の役場に出向いて取らなければならないのですが、郵送で請求できるようになっています。
該当の市町村に電話で確認するか、ホームページなどでも確認できるようですが、戸籍謄本の請求書式を確認します。この場合請求できるのは、職権で請求できる弁護士や行政書士以外では、取る方と請求者との関係を記入することになっておりまして、無関係の人は請求できませんので、たとえば友人が親切で手助けしてくれると言ってもダメです。
郵便で戸籍を取寄せる場合は、戸籍の請求書と手数料と切手を貼った返信用封筒を同封して、該当の役場に郵送します。当職は騰本が折り曲げられるのが好きではないのでA4の封筒を使用していますが、なるべくならA4の封筒を使ったほうがいいと思います。
戸籍請求の手数料は郵便局で郵便小為替を購入します。大体1通750円のところが殆どだと思いますが、該当の役場に確認してください。
取寄せる戸籍の種類は戸籍謄本と除籍騰本(筆頭者以下その戸籍に載っていた人が、死亡や転籍・婚姻などですべて抜けたことが載っている戸籍簿のこと)と原戸籍(役所の都合で新戸籍を編纂したときの基となった戸籍簿のこと)の3種類になりますが、取ってみないと戸籍謄本か除籍騰本か分からないと思います。
そこで、戸籍謄本などを請求する前に、電話で該当役場に「本籍地××の甲野乙朗の相続の調査で戸籍を遡っているのですが、そちらの役場にある関連する分全て送ってください」とお願いしてみてください。
「そんなこと電話ではダメ」とか「出来ません」などと冷たい返事が返ってきたら、仕方ないので当面の1通を請求することになります。
以後、手間隙かけて相続人の生まれたときまで遡れたらめでたし、めでたしとなります。

ゴールはまだだった?

手間隙かけてやっと相続人の生まれたときまで遡って戸籍謄本等がそろい、内容を確認すると、配偶者と子供だけだった場合は、本当にめでたし、めでたしでエンドです。
しかし、配偶者はいるが子供が無い場合はゴールは遥か遠くになってしまいます。
それはなぜかと言いますと、亡くなられた両親が法定相続人となり、もし両親が先にお亡くなりになっている場合、兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹に相続権が発生しますと、それこそ異母兄弟であったり、また兄弟姉妹のうち誰かが死亡していてその人に子供があれば、代襲相続となります。
こういう場合はなくなられた方の両親の生まれてから亡くなるまでの戸籍を取寄せる必用が出てきます。え~また取るの!との声が聞こえてきそうですね。
また取寄せ調査をすると、養子縁組その他で自分には知らない異母兄弟が出てきた場合、現在の生死を確認するために、その知らない異母兄弟の戸籍を取寄せて確認しなければなりません。この場合最終戸籍の附表を取れば現住所が載っていますので、連絡を取って分割協議へ参加してもらいましょう。



いかがでしたか。
手間隙をかければ出来そうですが、なんとなく大変だなと思いませんか?しかしこの戸籍謄本の取寄せが相続手続きの第一歩なんです。

なんか大変そうだからとお考えの場合は当事務所に相続手続きや遺言手続きをご依頼ください。



なお、当事務所では相続手続きに関するサポートをしております。相続人確定の為の戸籍謄本等の収集を始め遺産分割協議書作成や預貯金の名義変更や解約等も受け賜っておりますのでお気軽にご相談ください。メール相談は初回無料です。

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